第51回公演は終了いたしました。
多数のご来場、ありがとうございました。

日付:2019年8月4日(日)
時間:14:30開場 15:00開演
会場:三鷹市公会堂 光のホール
演目:G. Donizetti 『愛の妙薬』

全幕イタリア語上演/日本語字幕付き
入場無料(カンパ制)/全席自由
※ご来場者数が座席数を超過した際はご入場を制限させていただく場合がございます。予めご了承ください。

総監督・指揮:荒木優杜
演出:藤原高士
コンサートマスター:伊藤亮
合唱指揮:赤木恭平

《キャスト》
ネモリーノ:伊藤悠貴
アディーナ:門上莉子
ベルコーレ:杉戸亮介
ドゥルカマーラ:岡本航
ジャンネッタ:丸山美里花

東京大学歌劇団合唱団
東京大学歌劇団管弦楽団

《チラシ》

《あらすじ》

第1幕

幕があがると、村人を演じる人々が舞台のセッティングをしているのが見える。これから始まるのは、美人で教養のあるアディーナと彼女に恋する若者ネモリーノのお話。 物語中の人物であるネモリーノは不器用に愚直な愛情をアディーナに伝えようとする。 アディーナは台本に沿ってそれを否定するが、心のどこかで引っ掛かりを覚える。
『村人たちが休憩している中、彼は遠くから本を読むアディーナを眺めている。アディーナが惚れ薬である「愛の妙薬」について農民たちに読み聞かせていると、そこに軍曹ベルコーレが現れ、ネモリーノの目の前で彼女を口説く。ネモリーノは嫉妬心に駆られるが、気が弱くてなにもできない。アディーナと2人になった彼は恋心を伝えようとするも相手にされない。それどころか、彼女は自分のことは諦めなさいとネモリーノを諭す。』

「愛の妙薬」を売りつけるはずのドゥルカマーラだが、用意していた飲み物が見当たらない。焦った彼だが、金貨に目が眩んで本物のワインをネモリーノに売りつけてしまう。
『珍しい馬車が現れたと、村の広場に人々が集まる中、ドゥルカマーラは怪しい薬を売りつける。「愛の妙薬」(本当はボルドー産ワイン)を売りつけられたネモリーノは、すっかりその効果を信じており、明日にはアディーナが自分を好きになっているだろうと酔ってご機嫌でいる。』

アディーナは酔っ払った彼の態度に動揺する。ベルコーレが登場すると、ネモリーノが 酔ってしまったことで歪んだ物語を取り繕おうと、彼女たちは結婚式を”今日”行うことを決める。それに動揺したネモリーノは、彼女に泣きつくも相手にされない。そこに逃げようとしていたドゥルカマーラが現れるも、ベルコーレたちに捕まって台本を書き直すよう強いられる。アディーナはネモリーノが気がかりであるが、舞台は照明によって二分され、彼は孤独のまま幕が下りる。

第2幕

新しく書きあがった台本に沿って、ネモリーノに再び妙薬を与えるよう物語が進行する。 一方で、アディーナにバレないように、2人を本当にくっつけようと皆が動き始める。
『アディーナとドゥルカマーラの二重唱など結婚式の余興が行われているが、ネモリーノは現れない。公証人が到着し、皆が退場したところに現れたネモリーノはドゥルカマーラに「愛の妙薬」をねだるが、お金がないため相手にされない。続けざまに現れたベルコーレは、お金がないなら入隊すればよいと彼を諭す。アディーナと結ばれるため、入隊を決意しお金を手に入れたネモリーノはドゥルカマーラの元へ急ぐ。』
アディーナはネモリーノが女の子に囲まれているのをみせられ、彼が自分のために入隊したことを知ってネモリーノの一途な愛情に真実を見出す。ドゥルカマーラが出したワインで皆の企みを理解した後も、彼女は自分の気持ちをネモリーノに伝えることを決意する。
『ネモリーノの叔父が亡くなり、彼に莫大な財産が入ると聞きつけたジャンネッタは村の女性と一緒に酔っているネモリーノを舞踏会に誘う。そのさまを見たアディーナはショックを受けるが、彼が軍隊に命を捧げてまで「愛の妙薬」を手に入れたとドゥルカマーラに聞き、ネモリーノの強い愛情に心打たれ、自身の気持ちに気づく。』

お互いの気持ちを確かめ合い、結ばれた2人。皆は彼らと物語の完結を祝福する。
『妙薬の効果とアディーナからの愛を確信しているネモリーノのところに彼女が現れ、買い戻した入隊契約書を渡す。お互いの愛を確かめ合った2人は無事結ばれる。幸せな2人を見たベ ルコーレはアディーナとの結婚を諦める。最後は皆で「愛の妙薬」とドゥルカマーラを讃える。』

《総監督より》
「見所を書いて欲しい」そう言われて書くこの文章ですが、実際のところこれ程困る注文もないでしょう。加えて総監督である、という肩書きは僕の一筆に全ての責任がある事を意味しています。重荷とかそういうレベルの物ではないです。
それを踏まえた上で、見所をあげるなら「そんなものは存在しない」というのが適切でしょう。キャストの皆さん、演出の方、オーケストラと合唱そして裏方に至るまで大勢の団員による努力によって懸命に作り上げられるこの舞台において、見所を絞る、と言うのはとんでもなく野暮なことのように思えます。
欲張りな私は皆様に全てを、余す所なく見てほしいのです。大学、年齢、果ては人種や宗教に至るまで凄まじい多様性を持った私達が作り上げたこの舞台で、皆様が何を見聞きし、何を感じたのか、人によってそれは違うと思いますがそれこそが皆様にとっての「私達の愛の妙薬」なのだと思います。願わくば万来の喝采と感動を。

《演出より》
「愛の妙薬」の筋書きは常に物語的です。

ある青年が狂言回しやライバルと関わり、様々なハプニングを経てついにヒロインと結ばれる。

しかし、このような物語に関わる当事者たちが、もし現代に生きるような人々であればこの物語の結末は容易に想像できるのではないでしょうか?
そんなことを考えながら愛の妙薬の物語的な部分と現実的な部分が交わるような演出を考えました。
初めてのオペラ演出で色んな方にご迷惑をおかけしましたが、団員たちの協力のおかげでここまで来ました。
物語の主人公であるネモリーノとそれを「取り巻く」人々の舞台をぜひお楽しみいただければと思います。